実は多い「離島」出身のプロ野球選手、その中で最も活躍したのは誰か(現代ビジネス)

公開日：2023/03/03

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実は多い「離島」出身のプロ野球選手、その中で最も活躍したのは誰か

3/3(金) 9:03配信

離島の野球振興

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　昨年11月、72歳でこの世を去った元ロッテオリオンズの村田兆治さんは、引退後、自らのライフワークとして離島での野球振興に力を注いでいた。【写真】PL学園・野球部の「ヤバすぎる3年間」で僕が学んだこと　離島の中学生が一堂に会する軟式野球大会(通称・離島甲子園)の開催を提唱したのも村田さんだった。その甲斐あって、2008年には第1回大会が伊豆大島開催された。　村田さんは離島甲子園開催の目的について、「野球はチームワークの大切さ、相手への思いやり、参加する喜びを教えてくれます。おじいちゃん、おばあちゃん、おとうさん、おかあさんなど皆さんが協力して野球を通じて子供たちを育てていく。そこに離島甲子園を開催する意義がある」と語っていた。　2021年のドラフトでは、離島甲子園の出場者が育成ながら初めて指名された。読売ジャイアンツ育成6位の菊地大稀(昨季から支配下登録)だ。村田さんも草葉の陰から、彼の活躍を楽しみにしているに違いない。　ところで「離島」の定義とは何か。国土交通省は、北海道、本州、四国、九州を除く島を「離島」としているが、公益財団法人日本離島センターは、先の4島に加え、沖縄本島も「本土」と定義している。こう見ていくと、明確な定義はないようだ。

佐藤義則と西本聖

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　では「離島」出身で最も活躍したプロ野球選手は誰か。記録の上では、阪急・オリックスブレーブス、オリックス・ブルーウェーブで通算165勝、48セーブをあげた佐藤義則さんと巨人、中日ドラゴンズ、オリックス・ブルーウェーブで通算165勝17セーブの西本聖さんが双璧だろう。佐藤さんは北海道奥尻郡奥尻島奥尻町、西本さんは愛媛県松山市興居島の出身である。　佐藤さんは地元の奥尻中から、北海道の強豪・函館有斗高に進学した。当時、島内に中学の数は少なく、自衛隊(奥尻島分屯基地)や漁師の人たちのチームと練習試合を行っていたという。　最盛期に8000人近くいた人口は、現在約2400人にまで減少し、中学校は奥尻中ひとつ(69年に奥尻中と稲穂中、宮津中と合併し、新生奥尻中に。2017年に青苗中を統合)になった。佐藤さんが島にいた時より、さらに過疎化が進んでいるわけだが、昨秋のドラフトでは島出身の坂本拓己投手(知内高)が東京ヤクルトスワローズから4位指名を受け、入団した。佐藤さん以来のプロ野球選手誕生のニュースに島は沸いた。　西本さんの生まれ故郷の興居島には、子供の頃、海水浴で訪れたことがある。瀬戸内海に浮かぶ小さな島で、現在人口は913人だ。7人きょうだいの末っ子の西本さんは、地元の興居島中から、高校野球の名門・松山商に進んだ。長男の聖三さん、三男の明和さん(66年夏の甲子園準優勝投手―広島カープ)、四男の正夫さん(69年夏の甲子園優勝チームの一塁手)も松山商で活躍した、文字通りの野球一家だ。　父・友五郎さんは漁師で、挨拶にやってきた巨人のスカウト(西本さんはドラフト外入団)に、海で捕ったばかりのタコを手渡ししたという話を聞いたことがある。それが最高のおもてなしだったのだろう。　愛媛といえば、オリックス時代にセーブ王(95年)に輝いたこともある平井正史さんも宇和島沖の九島という離島の出身だ。高校はセンバツで優勝経験のある宇和島東高。練習後には島に帰るフェリーボートの便がなくなり、父親が漁船で迎えにきたという逸話が残っている。　その他では元阪神タイガースの亀山努さんが鹿児島県の奄美大島(奄美市・生まれは大阪市)、元ヤクルトの玄岡正充さんが、同じく鹿児島県の与論島出身だと聞いたことがある。76年夏の甲子園で“サッシーブーム”を巻き起こし、ヤクルトにドラフト1位で入団した酒井圭一さんは長崎県の壱岐島(壱岐市)の出身だ。　ちなみに離島は全国に6893ある。このうち有人島は、わずか416だ。

二宮清純